腸内環境を改善する腸活に欠かせない「食物繊維」には、さまざまな種類があります。
特に今注目を集めているのが「発酵性食物繊維」です。
発酵性食物繊維とはどのようなものなのか、腸内環境改善に役立つ働きについて解説します。
※ご注意・・・本記事は、健康増進・情報共有の為の参考記事です。記事内で紹介する商品について、すべての病気・疾病に対してその有効性・効果を保証するものではありません。又、多量の摂取にて効果が改善することもありません。用量・用法は各商品の注意事項をご確認ください。
まず食物繊維の種類とは
食物繊維はとても種類が多く、分類の仕方もさまざまあります。
よく知られている分類としては、
水に溶けない「不溶性食物繊維」。大豆・小麦・ごぼう・きのこ等。
水に溶ける「水溶性食物繊維」。こんぶ・わかめ・こんにゃく等。
水溶性食物繊維は、さらに「ネバネバ系」と「サラサラ系」に分けられます。
ほかにも、どんな食品に含まれているかによって、「植物性食品由来」と「動物性食品由来」に分けられることもあります。
最新の日本食品標準成分表2020年版(八訂)では、糖の結合の程度によって、難消化性オリゴ糖などの「低分子水溶性食物繊維」と従来の「高分子水溶性食物繊維」に分けて表示されています。
そんな分類のひとつに、善玉菌のエサになりやすい「発酵性食物繊維」というものもあります。
発酵性食物繊維について
発酵性食物繊維とは、腸内細菌によって発酵しやすい食物繊維のことです。
腸内細菌のエサになり、エネルギーになることを“発酵”と呼ぶことから、そう呼ばれています。
腸内には、体によい働きをする有用菌(通称、善玉菌)、悪い働きをする有害菌(通称、悪玉菌)、どちらにも属さない日和見菌の3つに分類される多くの腸内細菌が生息しています。
腸内環境を改善するには、善玉菌を増やして、悪玉菌を増えにくくすることが大切です。
そこで善玉菌の増殖をサポートする発酵性食物繊維が活躍してくれるのです。
そんな発酵性食物繊維には、多くの水溶性食物繊維と、難消化性でん粉(レジスタントスターチ)があり、それぞれ腸内で発酵する場所や時間、つまり腸内細菌への作用の仕方が異なります。
そのため、よい腸内環境を保つためには、いろいろな種類の発酵性食物繊維をとることが大切です。
発酵性食物繊維と腸内菌の関係
私たちの腸内には多種多様な腸内細菌が生息しています。
上にも既述したように、善玉菌・悪玉菌・日和見菌と種類があり、
このうち、善玉菌のエサになるのが、発酵性食物繊維です。
積極的にとることで善玉菌のエサとなり、善玉菌は短鎖脂肪酸という私たちの健康にいろいろな効果をもたらす成分を生み出すことに関係していると知られています。
発酵性食物繊維の種類
食品由来の水溶性食物繊維の多くは発酵性のある食物繊維ですが、いくつか種類があります。
発酵性食物繊維は繊維の長さによって、善玉菌のエサになり分解される速度が異なるため、およそ3つのグループに分類されます。
①長さが短い水溶性食物繊維
イヌリンや難消化性オリゴ糖(玉ねぎ・ニンニク・ごぼう等)
②長さが長い水溶性食物繊維
β-グルカンやペクチン(まいたけ・しいたけ・こんぶ・大麦等)
③不溶性食物繊維
アラビノキシランや難消化性でん粉(レジスタントスターチ)(小麦全粒粉・小麦ブラン等)があります。
いくつも種類のある発酵性食物繊維ですが、その種類によって腸内で発酵する場所や、食べてから発酵するまでの時間が異なるという特徴があります。
発酵する場所は、
①長さが短いイヌリンや難消化性オリゴ糖は腸の入り口付近(玉ねぎ・ニンニク・ごぼう等)
②長さが長いβ-グルカンやペクチンは腸の中央付近(まいたけ・しいたけ・こんぶ・大麦等)
③不溶性食物繊維のアラビノキシランや難消化性でん粉(レジスタントスターチ)は腸の最奥まで(小麦全粒粉・小麦ブラン等)
それぞれが、以上の場所まで届いて発酵すると知られています。
単に発酵性食物繊維といってもこのように特徴が異なり、善玉菌への作用の仕方も種類によって変わるのです。
発酵食品と発酵性食物繊維の違い
「腸内環境」や「発酵」と聞くと、「発酵食品」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
発酵食品とは食べ物に含まれる栄養素を乳酸菌や酵母、麹菌、納豆菌などの微生物が分解し、香り、酸味、旨味など新しい栄養成分が付与された食品のことです。
ヨーグルトやキムチなどが有名で、それらの中には善玉菌として有名な乳酸菌やビフィズス菌が含まれていることは皆さんご存じだと思います(プロバイオティクス)。
一方、発酵性食物繊維とは、私たちの大腸の中にいる善玉菌のエサになる食物繊維のことです(プレバイオティクス)。
「発酵性食物繊維」は善玉菌のエサとなる成分なので、私たちの健康のために働く善玉菌を元気にするために欠かせない栄養素なのです。
発酵性食物繊維の効果
前述のとおり、発酵性食物繊維は善玉菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を介して私たちの健康をサポートしてくれます。
善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸は腸内環境を整えるだけでなく、吸収されて血液中へ移行し、全身を巡ってさまざまな働きをすることが知られています。
例えば、腸内を弱酸性にすることで悪玉菌の増殖を抑える、腸管のバリア機能を高める、腸を刺激してぜん動運動を促進するなど、短鎖脂肪酸には腸を元気にするさまざまな効果が期待できます。
また、脂肪の蓄積を抑える、血糖値の上昇を抑えるといった肥満予防効果を期待できる可能性も報告されています。
このように、発酵性食物繊維の摂取による多くの健康効果が近年の研究報告で明らかになってきているのです。
まとめ
発酵性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなることで健康にいい効果を発揮するといわれる短鎖脂肪酸に生まれ変わる栄養素です。
腸活に欠かせない栄養素のひとつとして、ぜひ食生活に取り入れてみてください。
個人的には、キムチ・きんぴらごぼう・全粒粉パン・うどんなどを、意識して日々の食事に取り入れています。
何事も、バランスが大事なので、摂取しすぎには注意ですが。
より効果的に善玉菌にエサを届けるために、いろいろな種類の発酵性食物繊維を食生活に取り入れていきたいですね。